STD(性行為感染症)の検査に関して
女性の方に
性行為感染症に含まれるのは、
性器クラミジア/淋菌/トリコモナス/梅毒/ヘルペス/コンジローマのほかに、
HIV,B型肝炎、C型肝炎があります。
性行為感染症のうち、何らかの症状が出れば患者さんは病院(婦人科)を受診して、担当医師が疑わしい病気を(当然保険診療で)調べてくれるでしょう。
しかし、「症状は特にないが心配だから調べて欲しい」では、保険診療にそぐわないため、自費で検査することになります。この原則をまずはご理解下さい。
(1)症状からSTD検査へ
=保険診療
①「おりものが多い・臭う」「外陰部が痒い」
「おりもの(「帯下」)が多い・臭いから性病が心配だ」と言われる患者さんは多いですが、この場合は、おりものに細菌やカビ(「カンジダ」)がいると考えられます。病名としては『細菌性膣炎』『カンジダ膣外陰炎』です。カンジダの場合は特に「痒み」が出やすく、おりものを目で見て「カンジダです」と分かることもよくある。しかし細菌もカンジダももともと外陰部や膣に存在する常在菌で、STDには本来含まれません。
なお、おりものが多いから(保険診療で)クラミジアや淋菌その他を検査するのはやりすぎです(良識ある保険医ならやらない)。「このおりものはクラミジアだ!」などとは誰にも言えないからです。
【注意】「おりものが多い、臭い」で帯下培養検査(帯下の細菌検査)をすると、同時に保険適応でクラミジア・淋菌の検査が出来ません。日を改めて受診するか、帯下の細菌培養を自費(2.200円)でやるかのどちらかです。
②「お腹が痛い」 (エコー検査で子宮卵巣その他を調べる以外に)クラミジア感染症が重要です。患者さんがある程度若いなら医師誰もが注意するはずで、保険診療で普通に検査することになるでしょう。
③ 不正出血 子宮がん検査をするのが重要です。おりものがひどく汚ければ、「淋菌・トリコモナス感染⇒膣壁・子宮膣部の炎症⇒出血」もあり得るため、淋菌・トリコモナス検査をしてもいいかも(普通はやらない)。
(2)パートナーがSTDに感染した
=保険診療
パートナ-(男性)の診断が確定すれば、来院患者さん(女性)も感染が疑われるので、保険診療で医師が診察します。性器クラミジア・淋菌・トリコモナスは内診台に上がってもらい膣内から検体を採取して検査、梅毒は主に採血、HIV、B型肝炎・C型肝炎は採血、ヘルペスとコンジローマは内診台で医師が目で見て診断します。クラミジアとヘルペスで抗体を調べるのは意味が薄く、コンジローマで抗体を調べることはありません。